FLATSTONE's Blog

ギター好き中年のモノローグ

時代の終焉か

ギブソンの危機

ギターメーカーの経営危機は今に始まったことでは無く、フェンダーはその昔、CBSに買収される形で会社を畳んでいるし、消滅したブランドはいくつもある。ギブソンは何度も危ないと言われながらも生き延びてきた。ただ、こういう形でニュースになったのはあまり記憶にない。

ロック離れ?

どうも、ニュースを見る限り、アメリカでの「ロック離れ」が躊躇になっているそうで、ギターの売上がかなり低下しているとの事。1970年末期のロック暗黒時代をリアルタイムで経験した身からすると、そういう、「暗黒時代」を耐えれば1980年代初期のHeavy Metal黎明期の様な爆発的な盛り上がりが期待出来るか?というイメージを持ってしまうのだけど、そうも行かないだろうなぁと。

ベテラン勢が未だに第一線で踏ん張っている現状を見るに、要するにHard RockとかMetalとか飽きられたんでしょ? どう見ても上の世代に対する「反逆の音楽」としてのRockは既に死語になっている。70歳を超えてもマーシャルのキャビネットの前で爆音をかき鳴らすのはスゲーとは思うものの、その底流にある「怒り」というのものを表現するための音楽として、もう、クラシックやジャズの様な「枯れた音楽」になってしまったように思える。

年寄りが嫌う音楽

俺の世代だと、Judas PriestやIron Maidenが切り開いたMetalのジャンルをずっと聞き続けていて、それが、色々と分化して行ったものの、基本フォーマットは変化無し。極端な話、Judas Priestの「British Steel」のフォーマットを踏襲している。なので、世代の新しいスタイルでも割とすんなりと聴けてしまう。だから、ロックの分野だと、「大人が嫌う音楽」というのを作るのが難しい、という事になる。

今のアメリカの若い世代がどんなジャンルの音楽を好むかはよくわからないが、少なくとも70年台のHard Rockや80年台のMetalの流れの延長線上であるなら、年寄りが嫌う音楽では無い。だとするなら、楽器の売上が極端の低下し、ギブソンが危機に陥るというニュースになるほどの事が起きないように思える。

だと、すると、本当に聞いたことが無いジャンルが流行っているのか?ヒップホップとかだと俺はどちらかと言えば嫌いだけど、Run-D.M.C.を初期の頃から聞いてきたから免疫はある。

別の要因

楽器は大量生産しようとすれば簡単にできてしまう。特にエレキギターなんて、極端な話、板切れにピックアップを載せてスチール弦を張れば音が出る。別に特別な事をしなくても相応の音になる。革新的な機能も無いし、コピー出来ない様な技術的な特殊性も無い。真似をされやすいし、廉価版の流入で簡単に市場が壊れる。

だとすると、ギブソンがその会社の規模を維持するだけの市場が元から無い、という考えもあながち間違っていないように思える。既存の市場のパイの奪い合いをフェンダーと繰り返すだけでは駄目で、市場の拡大が必須だが、実際に拡大していない、というのが本当の理由のように思える。

ただ、ギブソンという会社がただのギターメーカーでは無く、ある種、音楽業界の象徴の1つになっている事から、本当にポシャったら、ロックというジャンルが1つの終わりを迎える事になるだろう。